レイアウト制作記#250
              更新日2012年6月18日更新         

2012年6月16日(土) 戸崎県庁周辺整備事業竣工                          


 2008年から始まった戸崎県庁舎周辺の整備も、今回作業で竣工させたいと思います。


 梅雨が明けて暑さが続く夏の日、屋外の公園では熱気が満ちて、厳しい環境が続きます。
 午後、夕方近くなると日差しも和らぎ、海風も吹くようになり、人で賑わうのは、まだまだ日没まで時間のある、この時間帯です。県民や多くの観光客が県庁の展望台や県庁公園を訪れています。

 戸崎県庁は明治時代の鐵道の開業時より戸崎駅前にありました。
平成になり老朽化した庁舎の新庁舎への立て替えの計画が持ち上がった際、広大な敷地を求めて郊外に移転し、跡地を駅前の一等地として有効に活用しようとの計画が持ち上がりました。 
 しかし、千人を超える職員を抱える職場が中心市街地より消えるのを、地元の商店街から死活問題との反対の声が上がりました。
 県議会での検討の結果、現在地での新庁舎による立て替えが決まり、高層建築により生じた空地を公園の建設にあてたり、展望台をはじめとする施設を広く県民に開放し、観光客を戸崎市の中心市街地に誘致する核としての役割も県庁が担うことになりました。
 
 県の芸術施設である戸崎21世紀美術館を皮切りに、県庁舎の周囲を文化芸術的な公園が作られ、戸崎駅から徒歩5分以内という好立地もあって、アメリカの都市のように行政が作り出した都市観光開発の成功事例となっています。








 レイアウト建築当初は、県庁の周辺は日本全国の中心市街地にある県庁舎のように、いかにも官庁といった味も素っ気もない雰囲気のストラクチャーにする予定でした。
 それが変わったのは、群馬県庁を訪れてからです。
 
  群馬県庁を訪れたのは2度目です。 最初に訪れたのが新庁舎が完成した1999年です。 このときはまだすべての工事が完了しておらず、外構の工事が進行中でした。
 これが県庁をレイアウトに作ろうと思ったきっかけでした。
 

 二度目は制作記#229で、埼玉県飯能市のあけぼの子どもの森公園の訪れましたが、その時に群馬県庁を先に訪れ、県庁舎をよく視察してきました。


 33階建ての庁舎は、今では小窓が並ぶGMのビジネスビルのキットを使えば再現できそうですが、この規模のストラクチャーをビジネスビルで作ったら、かなりの金額をキットに投資することになります(^_^;)
 
 戸崎県庁の建築を始めた当時は、GMのビジネスビルの企画すらなかったので、当時アメリカで売られていたAtlasHIGH RISEシリーズビルのキットを使用しました。制作記#115参照



 関東平野の北西にそびえる群馬県庁舎は、周りに高い建物がないので非常に存在感を発揮しています。 
 群馬県に行くと赤城山や榛名山、そして妙義山などの山々も眺めるのも楽しみですが、北関東横断道のパンフレットに県庁舎はLandMark of Gunmaと書かれているだけあって、上越新幹線や関越高速道路からの車窓でも、群馬県庁と高崎市庁舎はよく目立つランドマークになっています。

 横一列に並ぶ北関東3県、いずれも県名と県庁所在地名が異なるので西日本の人には分かりづらいようで、「茨城県宇都宮市」とか「栃木県高崎市」などと間違われることがあります・・・・・  東京の人でも、前橋市が栃木県か群馬県にあるか判らなかった人もかなり会いました(^_^;)


 昨年の11月、そんな地味な県の県庁に自動車ので訪問になりました。 群馬県庁駐車場は775台収容のパレット移動型のハイテクな機械式の立体駐車場になっています。 パレットに載った車が横に素早く引き込まれるように移動していきます。 出庫の時もいきなりシャッターが開いて車が横向きに飛び出てくる光景も見物です。
 2時間まで駐車料金が無料なのも見学者にとってはありがたい(^_^)
 
 
 前橋城の城跡の敷地に、33階の本庁舎を中心に6階建ての県議会棟、10階建ての県警察本部、そして旧庁舎の一部を残した昭和館があります。



 昭和館の中に入ると、群馬県政の歴史の展示などがあります。県庁が前橋城の跡地に開設され、一時期、高崎市に移転したが、その後再び前橋市に移った経緯など複雑な県政の歴史があったり、特別展として群馬県出身の宰相の展示がありました。
 群馬県は福田赳夫前首相・中曽根康弘大勲位・小渕恵三前首相・福田康夫前首相の4人もの総理経験者を輩出した県です。

 石造りの重厚な昭和館から新庁舎に向かうと展望台専用の展望エレベーターで一気に32階の展望台まで昇ります。
 気分は群馬県庁を戸崎県庁に置き換えて、疑似体験を楽しみました(^_^;)


 東日本大震災への対応で節電されており、中は暗くなっていますが県庁の展望台としては日本一の32階の高さを誇ります。
 東京都庁展望台の45階や大阪府庁咲洲庁舎展望台55階には負けますが、なんといっても関東平野の端に立ち、周りに高い建物がないのが東京都庁よりも景観がいいし、大阪府と違って無料で展望台が楽しめるのもいい(^_^;)

 まずは南南西の方角、前橋市のライバル、高崎市方面を見てみました。 

 

 同じ群馬県で高い展望台と言えば高崎市役所ですが、あちらは21階です。 
 高崎市のランドマークなので県庁から見えるかと思いましたが、10㎞も離れているので判りにくかったです。

 前橋市は群馬県の県庁所在地ですが、上越・長野新幹線の通り高崎駅のある高崎市の方が知名度も経済力も上回り、前橋市は少し影が薄くなっています。 隣接した市街地も
 そんな前橋市の中で一点豪華主義のようにそびえ立つ群馬県庁舎・・・・

 展望台から前橋市の中心市街地を見ると、JR両毛線と国道50号線が平行に走り、街区もきれいに整備されているように見えます。



 しかし前橋市は県庁所在地なのですが、駅前の大型スーパーが撤退し、中心市街地には空き店舗が数多くあって空洞化が全国の県庁所在地の中でも最も顕著に表面化している街です。  前橋市の中心市街地の活性策は何度も試みられていますが、なかなか成果が上がりません。
 最近では開通したばかりの北関東横断道路の前橋南IC付近に大型商業施設が相次いで開店し、中心市街地としては苦しいところですが、最近は前橋駅近くにけやきウォーク前橋という大型商業施設が出来ましたが、これも車での来店が中心となっているので、なかなか中心市街地の活性化は厳しい状況です。


 県庁の北側からは、赤城山、谷川岳、榛名山などの群馬の名峰が望めます。 

 前橋市の北部は赤城山の山麓から山頂へと広がっています。
 それにしても、ヤマダ電機の黄色い建物。 この景観の中で目立ちすぎだと思う(^^;)



 県庁の北側には屋内競輪場もある多目的アリーナのグリーンドーム前橋前橋公園とがあります。(県の施設ではなく前橋市ですが)
 公園内には10円から遊べる昭和レトロな遊園地るなぱーくがあります。
 改めて、戸崎駅周辺のレイアウトの中で県庁の周りを公園化してしまったのは、群馬県庁の影響を大きく受けていることが判ります(^_^;)

 榛名山の山麓の榛東村には、陸上自衛隊第12旅団の司令部や飛行場のある相馬が原駐屯地があります。 これだけ空気が澄んでいると、格納庫らしきものが県庁の展望台からも見えます。所在している大型ヘリコプターCH47が離着陸すれば、ヘリコプターが見えるだろうと期待して待っていましたが、滞在中の離発着はありませんでした(^_^;)



 同じく県庁舎の北側には県警本部棟があり、屋上ヘリポートがあります。 県警本部の建物が10階。 見下ろす展望台が32階。 じっくりと観察できます。
 このような景色が好きなので、レイアウトにヘリポートを幾つも作ってしまうんです・・・・


 展望を楽しんだ後に、10年前に訪れた群馬県の巨大模型に行きました。
 県庁舎の26、18、14、11、8階の各フロアーにふれあいテラスがあります。 そのテラスの26階に群馬県の地形図の巨大ジオラマがあります。
 向かったのがちょうど昼時で、生協食堂などに向かう大勢の県職員とエレベーターに乗り合わせました。 庁舎が32階の高層ビルなので、各エレベーターによって停止階が異なる設定がされているので、32階から26階にはストレートには行けません。 が、皆さん扉の方を向いて手を前で組み、礼儀正しく乗っています。 今まで何県かの県庁を訪問しましたが、群馬県はなかなか礼儀正しい職員が多いところです(^_^)


 26階のふれあいテラスに、群馬県のジオラマがあります。 陶板製で巨大怪獣になった気分で(←パンフレットより)群馬県を体感出来ます。 


 大きさは8m×8m、群馬県の地形図が1/12000のスケールで再現されています。高さは3倍の高さで表現してあるので、山の高低が良く判り、実際に1/4000の髙さの山を昇り降りしながら群馬県を代表する谷川岳、赤城山、榛名山、浅間山、妙義山、そして日航機墜落事故のあった御巣鷹の尾根付近の人の接近を許さぬ地形の厳しさを体験学習することが出来ます。

 それにしても関東平野の北西に位置する群馬県。 山地が県内の大半を占めているように感じます。
 平野部分と言えば前橋市・高崎市・桐生市・太田市・伊勢崎市・館林市など・・・・  関東平野の平野部分が埼玉県に食い込まれているような感じがして、戦国時代ならば、本庄市や深谷市、熊谷市あたりを平野獲得のために占領したくなります(^_^;)
 逆に埼玉県側から見ると、館林市、太田市が突出部になっていて、戦略上の要請から2つの市を占領したくなるのではという妄想が浮かびます(^_^;)

 それにしても、この大ジオラマ、10年前は開設されたばかりで、子どもたちも含めた大勢の見学者で賑わっていましたが、今回は平日でもあり、滞在していた20分間、訪れる人もなく侘びしい感じがしました。 植えてある樹や植え込みも大きく育って10年の歳月を感じました。

 そんな10年前の群馬県庁のふれあいテラスの賑わいを見て、作ったのが戸崎県庁の20階に設けた県民テラスです。



 10年前は群馬県庁のふれあいテラスもこのくらい賑わってたかと・・・・・
 群馬県を倣って戸崎県の地図ジオラマにしようかと思いましたが、架空の県の地図をでっち上げるのも何なんで、香港国際空港の展示施設 航空探知館の通路をヒントに空港のジオラマにしました(^_^)     参考:制作記117118


 
 約4年の歳月をかけて、県庁舎の周りをぐるりと一周する形で、県庁周辺の情景を作ってきました。



 南の方角から見れば、いかにも官庁の建物と言う感じがしますが・・・・・・



 庁舎東面と北面はテーマパーク状態になっています・・・・



 県庁舎のミラーガラスに、公園の建物や樹木、架線柱、そして青空が映っているのが嬉しい(^_^)



 ホームページ更新休止期間中に、公園内に人形やアクセサリーを配置して仕上げてあります。



 大砲を入手したので、石垣の角に1門置きました。



 この大砲は帆船模型用の艦載砲です。 帆船模型なのでスケールは1/100かと思いますが、1/150に換算すると18ポンド砲くらいの大きさになるのではないかと思います。

 戸崎県庁は戸崎城の城跡に建てられたので、幕末に戸崎藩が製造した攘夷運動の沿岸防備用の砲です・・・



 下関市ではみもすそ川公園に幕末の下関戦争で長州藩が四ヶ国艦隊を砲撃したが手痛く反撃を受け、あっけなく上陸後占領された大敗北の歴史的記念にレプリカの長州砲が5門置かれおり、内1門は百円を投入すると発射音と砲煙が出るそうで・・・・


 この大砲、模型店から頂いたものです。 他にも頂いたものがあって、トンネルの上のテラス状になった部分に取り付けた手摺りは、餘部鉄橋や碓氷峠や駅舎のレーザーカットのキットを制作しているガレージキットメーカー ㈱フローベルデのトラス橋の手摺りです。



 フローベルデという会社は本業は生花・球根類の輸入業なのですが、経営者の趣味で鉄道模型のストラクチャーに参入し、ペーパーキットを製造しています。
 廃れゆく日本の素晴らしい建築物や建物を図面から精密に再現し形にして市場に残していく。
 を経営方針にしているので、近代的な都市型レイアウトを目指している自分のレイアウトとはコンセプトが異なっているのが残念ですが、適度の厚みと堅さがあるペーパー素材はとても精密にカットされているのが好感を持てます。
 同じペーパー製キットでも、さんけい みにちゅあーとよりはかっちりとした感じに仕上がりますが、みにちゅあーとは無塗装でもいけますが、フローベルデのは、ペーパーキットに下地処理、塗装が必須で、無塗装のプラキットを仕上げる覚悟が必要です。

 なかなかの精密感のあるフローベルデの手摺りですが、手摺りほしさにトラス橋のキットを買うのはちょっとつらい(^_^;)
 この手摺りは、フローベルデの特約代理店をやっている宇都宮ロコ模型から頂きました。

 
 宇都宮のロコ模型と言えば、宇都宮大学の近くの峰町で鉄道模型と艦船模型が好きだった趣味人のご主人が模型店をやられていました。
 鉄道模型とラジコン、プラモデルの店で、店内には大きなHOのレイアウト、店主が制作した帆船や飛行機の模型が飾られていました。プラモデルは店主の好みが現れた偏りのある品揃えでしたが、当時としてはNゲージの在庫がかなり豊富な店でした。
 その店主が16年前くらいに病没。 その後、奥様と娘さんが店を引き継ぎましたが、一年以内に閉店となりました。

 そんなロコ模型が宇都宮市の北西部に2011年の12月に宇都宮ロコ模型として新たに開店しました。



 店主は、先代のロコ模型に出入りしていた人で、先代の店主ととても親しくしていました。
 常連客であり、帆船模型、鉄道模型、飛行機のプラモデルなど一通りこなしていた人で、先代の店の閉店の際、店を引き継がないかというオファーをもらいましたが、当時は勤め人だったので模型店は始めませんでした。
 その後、定年後に自宅兼店舗を新築して、2011年の12月に先代の名前を引き継いでオープンしました。
 カウンターの裏にはNのレイアウトを制作中です。



 品揃えはNゲージが中心で、KATOとTOMIXのHOゲージが一部。そしてロクハンのZゲージも扱うそうです。
 プラモデルは在庫品が先代のお店の跡から、持ってきた懐かしの船、飛行機のキットが置いてありますが、問屋が扱っているものなら取り寄せ可だそうです。
 また飛行機好きなので、1/200,1/400,1/500などの民航機の完成品模型も充実させていきたいそうです(^_^)

 力を入れているのが、前述のフローベルデのペーパーキット。 何でも宮沢模型の商談会でフローベルデの人とモデラー魂が意気投合し、ロコが同社唯一の特約代理店だそうで・・・・   店主が組んだキットの完成品見本も並んでいます。 大先輩モデラーの店主からいろいろとペーパーキットの作り方を教えてもらいました。



 初めて行ったときから、店主と模型制作で意気投合して、レイアウトに使えそうな先代のロコの在庫品や、店主のコレクションからいろいろとレイアウトで使えそうな品物を頂いてきました(^_^) 
 これからのレイアウト制作に大量に必要となる手摺りのパーツは、店主がフローベルデから頂いてきた試作品のもので、トラス橋や餘部鉄橋の手摺りを頂きました。 大感謝です(^_^)
 問題は、いろいろと頂き物をしたのですが、それらのおよその売価を合計してみると、この店で自分が買った商品の代金に達していないことです(^_^;) 



 今まで、このレイアウトは駅前広場を中心とした、都市型レイアウトの製作を目指してきました。
 これからは、都市のウォーターフロントのレイアウト制作になるかもしれません(^_^)

 これから完成した県庁公園から赤矢印の方向へ、高架歩道を設けて中心市街地の回遊ルートを設けようかと思います。
 そして、レイアウトを拡張して1/144の船が浮かぶ港湾地区を作ろうと思います。



 このレイアウト戸崎駅周辺で、まだベニヤ板の部分が露出しているのは、唯一この部分です。 
 (これからレイアウトベースの拡張を行うので、ベニヤ板が露出する面積は増えることになりますが・・・・) 

 次回からハイライン(空中緑道)の整備と同時に、ベニヤ板が露出している部分に水辺の風景を制作していくことになります(^_^)

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