平成28年自衛隊記念日観閲式#1(装備品展示)
                                            
   2016年10月22日更新 

 3年に一度、埼玉県の朝霞訓練場で行われる自衛隊記念日観閲式の方面統一訓練に行ってきました。

 

 安倍首相を観閲官として迎える本番は10月23日(日)ですが、私は事前に行われた10月13日(木)の方面統一訓練に行ってきました。方面統一訓練の前には師団予行があるらしいです。
 方面統一訓練と本番ではどう違うかというと、観閲官が総理大臣ではない、来賓の数が少ない、観閲飛行する種類と機数が少ない、アメリカ海兵隊のオスプレー、アメリカ陸軍のUH-60ブラックホークの飛行がない。同陸軍のストライカー装甲車などの行進がないと少し寂しくなります。
 特に今年の目玉である航空自衛隊のXC-2新型輸送機やブルーインパルスの展示飛行が予行ではないというのが寂しいところです(^_^;)

 いいところは本番のときと違い見学者の数が圧倒的に少ないので、会場内の移動が楽なのが、じっとしていない性分の自分にとっては、がら空きの予行の方がありがたいです(^_^) 総理大臣を迎える本番では警備体制もさらに厳しく、VIPの移動に伴う通行制限が多々発生します。


 開場は7時からですが、東武東上線朝霞駅に8時30分頃に付き、駅から2.3?くらいの会場へゆっくり歩いて30分くらいで着いたので、着いたのは9時頃です。
 入場時にはチケットチェックとセキュリティチェックがありますが、今年は特に厳しく、カバンの中味を全部カゴに出してチェックを受けました。

 会場に入ると総合予行や本番のときとは入りきれないほどの見学者が集まっていますが、この日はスタンドには信じられないほどの少ない人数で、自衛隊の学校関係の見学者も合わせて、観閲式が始まっても1/3くらいしかスタンドは埋まりませんでした。

 

 毎回、入場してもスタンドには行かずに、先に装備品展示会場に行って、ゆっくりと装備品を鑑賞することにしました。

 

 装備品展示会場には今日だけは見学者の姿はほとんど見えず、係の隊員の姿が目立ちます。


 90式戦車  主力戦車らしくどっしりとした構えです。
 観閲式後に動作展示が予定されているので、立入禁止のテープが貼られています。

 
 

 10式戦車 6年前の観閲式では新鋭戦車で試作車の展示だった10式戦車も、6年間で配備数を増やしてきました。
 約50tの90式戦車が北海道以外で移動するのは困難な問題があるため、小型軽量化した10式戦車は約44tに納めました。同じく120?砲を装備する90式戦車とは異なる外観は、世代の違いを感じさせます。外見だけでなくC4Iシステムを搭載して10式戦車同志で情報の伝達・共有が行える新世代の戦車です。

 

 同じく主力戦車の74式戦車の姿は見えません。
 隊員に聞くと、74式戦車は陣地の中に1台。

 外からは見えませんが、偽装網の中に隠されています。


 

 正面に回ると、砲身が正面を睨んでいます。

 

 

 装備品展示会場に造られた陣地構築地域、初めての試みで、力の入った展示になっています。

 

 見学者が中に入ることが出来ます。

 

 最初は5.56mm(Minimi)機関銃用掩蓋掩体

 教本通りに陣地構築してあるのでしょう。手前の穴は手榴弾を投げ込まれたときに、そこで爆発させて被害を低減させる穴だそうです。

 

 これだけは、よく見ていって下さいと言われたのが、掩蓋の上に設けられた空気取り入れ口。
 木の切り株にしか見えないように、木の皮を一枚ずつ張り付けて擬装しているそうです!

 

 掩体の中にも入れます。中は暗くて写真を撮れなかったので、説明用のパネルを撮りました。
 中は土の中らしい湿り気と土の臭い、そしてなんともいえない土の重みを感じる圧迫感がします。最近、第二次大戦中の沖縄の陣地戦を研究しているので、当時とはまったく環境は違いますが、掩蓋掩体陣地の経験をさせてもらいました。

 


 74式戦車

 

 偽装網の外からは中は見えませんでしたが、中からは外は良く見えます。
 自衛隊の偽装網なので赤外線対策も施してあります。

 

 偽装網は専用のパイプを使って、テントのように設置されています。

 

 掩体壕の裏側は、進入するときと陣地転換をするための斜路が設けられています。

 

 120mm迫撃砲RT

 

 陳地内には、照準用のコリメーターと弾薬も置かれて展示してあります。
 迫撃砲といえども120mmという大口径なので、発射時にはすごい衝撃がするフランス生まれの迫撃砲です。

 

 FH70 155mm榴弾砲

 

 照準用のコリメーターは陣地の前に設置されています。

 

 そのままジオラマにしたいくらいの砲陣地です。

 

 FH70の後ろには、自走して陣地転換できるくらいの緩やかな斜路が設けられています。

 



 陣地構築地域の展示で一番驚いたのは、土嚢の積み方です。
 戦場写真などでみる土嚢は積んであるという感じですが、自衛隊の土嚢は四角い豆腐のように、きれいに積んであります。

 

 壕の壁面もほぼ垂直に一直線に掘られています。土嚢もほぼ一直線。
 隊員に「観閲式での展示用にきれいに積んであるのですか?」と聞いてみると、
 「いつもの演習でもこのように積んであります。」とのこと。
 「どうやったらこんな風に、きれいに積めるのですか?」と聞くと、
 「手でパンパン叩いて、平らにします。」とのことでした(^_^) 凄い

 

 土嚢が積んである陣地の外側には、土が盛り上げてあって表面に芝生が植えてあります。
 擬装の効果も高まっていますが、観閲式が終了したら、演習場を原状復帰しなければならないので、この芝生を植えて元通りにするのでしょう。

 

 さすが陸上自衛隊のミリミリ主義(^_^) 


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