香港ミニチュア展 ~消失中的香港~ #5
                                 2014年12月 3日更新                           


19.香港氷室 ― 伝統的な香港式アイス・カフェ  Hong Kong Ice Cafe           Tony Lai        1/12

 香港の特徴的かつ伝統的な飲食店の一形式である「氷室」は、「茶餐庁」と違って料理は供さず、冷たい飲み物やデザート、またごく簡単な軽食を出す店である。氷室で提供される焼きたてのパンや香り高いコーヒー、作りたてのエッグ・タルトにハムと卵入りスープマカロニといった東西の飲食文化を融合させた品々には、むしろ純粋な「メイド・イン香港」ともいえるユニークさがある。



 
このノスタルジックなカフェは現代の香港でも、まだ見ることが出来ます。各店とも名物のエッグタルトの味を誇っています。それと、コーヒーや菓子パンなどを楽しみました。





  
20.活家禽檔 ― 生きた家禽を売る店  Live Pouitry Stalls     黄曼萍 Bertha Wong           1/12

 香港の主婦の多くは、より種類豊富で新鮮かつ安価な品物が手に入る生鮮市場で買い物をすることを好む。しかし、鳥インフルエンザの流行により、生きた家禽を扱わなくなった市場もある。
 政府は将来的に、生きた家禽の販売を禁止することを検討しており、そうなれば香港の市場から鶏の入った籠は姿を消すことになる。



 
生きた家禽類を市場で売っているのも香港らしい風景です。
 ついさっきまで生きていたものを調理するという新鮮さで安心感がありましたが、鳥インフルエンザがその安心感を一変させてしまいました。売り場事態がウィルスの宿主を抱えてしまうのではという、そこにある危機を引き起こしてしましました。同時に、ペット用の小鳥を籠に入れて販売している市場も、鳥インフルエンザの発生時には香港の小鳥を売る商店が集まるバードガーデン(雀鳥花園)を同じ憂き目を見ることになります。




 
籠の中の鶏もリアルに作られています。
 ただ人間の人形が、ドールハウスのものなので、リアルさに欠けるのは少し残念ですが、これも1/12のドールハウスの作法なのでしょう。







  
21.薬材舗 ― 漢方生薬店  Chinese Drug Store        黄曼萍 Bertha Wong           1/12 

 香港では西洋式の医療が主流だが、依然として多くの市民が病気の際には伝統的な東洋医学を選んでいる。香港島の上環にある高陞通りは、漢方薬の店が軒を連ねていることで有名だ。
 この作品は伝統的な漢方薬の店を模したもので、店内には多数の引き出しのついた古風な戸棚や、粘土で作られた各種の生薬が置かれている。また戸棚の横には、生薬を煮出す大やかんまで設えてある。

 
全体を撮ったこの写真だけピンぼけでした。スミマセン(>_<)


 
漢方薬店といえばこの引き出しが並んだ棚。以前台湾で家人から頼まれた日本で売っている漢方薬の袋を台北の漢方薬店に見せたら、引き出しから何種類もの生薬を取り出して、たちどころに調合してくれました。



 
ケースやガラス瓶に入っている生薬もリアルに作られています。




  22.生福蘭
香荘 ― 中秋節の提灯を売る線香店 Sung Fook Lan Incense House   陳翠薇 Louise Chan       1/12

 中秋節の1~2ヶ月前から、香港の線香店では店の内外にさまざまな提灯を吊り下げ始める。こうした家族経営の店では提灯を自分で作っており、中秋節が近づくと一家総出で提灯作りに追われることになる。
 作者は伝統的な手法でミニチュアの提灯を作るべく、職人の師匠から作り方を教わった。実際にやってみると時間のかかる大変な作業であり、職人たちが中秋節のために4月始めの復活祭の頃から提灯作りを始める理由が分かったという。



 
自分が香港に行くのはいつも10月です。9月の中秋節が終わってから行くので、日本の提灯とはまるで違う複雑なデザインの提灯を売っているのを見たことがありませんでした。次に香港や台湾に行ったら、中秋節用の提灯を売っている場所を探してみようと思います。



 
23.郷郊路上 ― 田舎の風景  Road to the Countryside     陳鴻輝 Hung-fai Chan        1/76

 1960年代、香港新界の村人たちは主に農業と牧畜で生計を立て、素朴な住居で豊かな緑に囲まれたのどかな暮らしを送っていたが、社会が発展するにつれ、このような田舎の大部分も都市化された。
 この作品には、旧式のディーゼル車やバスが行き交う様子、中国式の家屋、伝統的な服装をした村の娘、畑を耕し鴨の世話をする農民といった昔の田舎の風景が再現され、見る者に懐かしさを抱かせる。



 
このHOゲージの車両の車両を使ったジオラマは、我々鉄道模型をやっている人間にとって馴染み深いものです(^_^)
 人形もHOスケールのものを利用しているので、リアルなものになっています。
 
 うまく割れ目を表現した道路や、アヒルを追う農夫など見所が多くあります。



 
石造りの農家の庭先で遊ぶ子どもや、鴨がついばむ姿。さすがに1/12のスケールの作品には負けますが、このくらいならばNスケールでも再現できるので参考になります。



 
単線のレールを行く列車は、機関車にKCRとあるので九廣鐵路( Kowloon Canton Railway)で、香港の九龍と中国本土の広州の間を結んでいる国際列車のようなものとして、今でも重要な働きをしています。2007年にはMRT(香港鉄路有限公司)と合併しました。今では広深港高速鉄路に進化して、高速鉄道として香港と広州を結ぶ予定になっています。
 この鉄道沿線の風景も近代化されて、今では大きく風景を変えています。
 



 

   香港ミニチュア展#6に続く→