2021年4月5日 YOKOSUKA軍港めぐり#2
                                           

 2021年 6月29日更新         

 原子力航空母艦に夢中になっていると、出港する潜水艦が遊覧船を抜いていきました。

 

 軍港めぐりの遊覧船を抜かして出港する、おやしお型潜水艦。普段見慣れた遊覧船と異なるSeaFriend1なのか見張りは厳重です。
 吹きさらしのブリッジや

 潜水艦は船体の形状、色、故にあまり周囲の船舶から視認されがたいのと、潜水艦の艦橋が低い位置にあるのと見張りに立つ場所も少ないこともあり、特に1988年に発生した潜水艦なだしおと、遊漁船 第一富士山丸との衝突事故以来、潜水艦は浮上航行時の見張りは特に厳重になっています。
 
 潜水艦は艦名や入出港時間などは厳重に管理されていて、船体を見ても艦番号も艦名も外からは判らないようになっています。
 しかし。乗員の被っている識別帽を見るとデザインで艦名が判ってしまうのが玉に瑕・・・ 航空自衛隊はこれを問題にしたので、識別帽は航空総隊隷下部隊では原則廃止になりました・・・・

 

 入出港時には乗員が甲板に整列します。たいへん狭く、落水の可能性のある潜水艦の甲板に整列するのはたいへんですが、これぞ海の男という感じがします。(今は女性自衛官も潜水艦に勤務する時代になりましたが・・・)

 

 ブリッジからはいつもと違う軍港めぐりの遊覧船に対する警戒が怠りませんが、後部に整列した隊員は遊覧船に向かって手を振ってくださいます。

 

 なかなか潜水艦の航行シーンを近くで見る機会は少ないので今回は、いい経験をしました。

 


 軍港めぐりの船も港外に出ると、東京湾の中でもこの日はけっこう波がありました。
 いつもの遊覧船SeaFriend7のピンチヒッターのSeaFriend1なので、船の全長が短いせいか舳先の方にいると、かなり波で上下揺れてしっかり掴まっていないと危険を感じるほど揺れました(^_^;)
 SONYのα-7で撮影しましたが、手ぶれ補正機能が効いています(^_^)

 今度は入港する掃海艇と反航しました。
 艦番号604は掃海艇えのしま です。 2012年に就役し、従来の非磁気船体の木造船から、えのしまは強化プラスチック(FRP)製の船体となりました。これは木造船建造の職人が減少

 


 軍港めぐりの遊覧船は横須賀港の入口で大きく旋回して、同じ横須賀港の長浦港(船越地区)に入っていきます。

 2014年に民間使用埠頭と、防衛省が防衛施設と交換した場所に埠頭が新設され、潜水艦が2隻停泊しています。

 左側が、おやしお型潜水艦、右側が、そうりゅう型潜水艦。違いは後舵が十字型かエックス型かで識別可能です。 

 

 西側の岸壁には潜水艦救難艦の4004ちよだが停泊しています。

 

 ちよだは潜水艦救難艦ちよだ の名前を継いで、先代の名前をそのまま引き継いで2018年に就役しました。
 先代は潜水艦への補給機能もありましたが、2代目は補給機能はなくし、そのかわり病院船の機能を持たしています。これも大規模災害に備えての措置となります。
 先代も速度が救助に駆けつけるにしては20ノットでは遅すぎるのではないかという意見がありましたが、2代目も同じ20ノットと公表されています。

 潜水艦に事故があった場合に出動することになりますが、幸い実任務では潜水艦の救難は行っていませんが、災害派遣で人命救助は行っています。

 

 DD-110護衛艦たかなみ
 2003年に就役したたかなみ型護衛艦のネームシップです。姉妹艦のDD-111護衛艦たかなみと共に横須賀基地で第2護衛隊群第6護衛隊に所属しています。
 テロ対策や海賊対処行動、国際緊急援助活動などの様々な海外での国際貢献を行った殊勲艦です。

 

 2019年頃、海上自衛隊の艦艇の塗粧及び着標に関する通達が変更されたようで、艦艇のロービジ塗装化が進んでいます。
 煙突の頂部の黒塗りが廃止され、艦番号と艦名も白文字に黒い陰影を付けて目立つようにしていましたが、それが無くなりました。
 たしかに煙突の頭頂部の黒塗りがなくなると艦の輪郭が背景に溶け込むので、効果は大いにあります。
 ただし、見慣れないと塗装が未完成の模型の船のようにみえますが・・・・・・

 

 艦番号の色は白とされていますが、グレーのように見えます。

 

 防衛省が土地の交換により民間用埠頭だった場所には、潜水艦の停泊する埠頭と、建造物の工事が進められています。

 

 建築中のコンクリート製の構造物を見てみると、弾薬庫のような構造をしています。

 

 再び潜水艦岸壁
 2隻の潜水艦が停泊していますが、手前が そうりゅう型で奥が、一つ古い型の おやしお型です。
 艦橋も形が似て高さも同じです。 違いは、そうりゅう型の方が艦橋が前寄りに取り付けられています。

 

 そうりゅう型潜水艦からも当直員が遊覧船に向かって手を振ってくれています。

 

 海上自衛隊、最大の抑止力になっている通常型潜水艦の姿は頼もしく見えます。

 


 

 横須賀港の船越地区を巡った遊覧船は、本港と船越地区を連絡する新井堀水路を通って本港に戻ります。
 もともと半島だった吾妻島を帝国海軍時代に水路を造り分断しました。 

 

 吾妻地区はアメリカ海軍吾妻倉庫地区になっています。主に艦船用燃料と、航空機用燃料が貯蔵されています。
 以前は、引き込み線があってタンク車で燃料を出荷していましたが、現在はタンカーで鶴見貯油施設に送られ、タンク車かタンクローリーで厚木基地や横田基地に燃料は輸送されています。

 この日はアメリカ国旗はすべて半旗になっていて、艦船も半旗になっており弔意が表されていました。 

 


 横須賀本港の海上自衛隊地区に戻りました。

 この日は多くの艦船が訓練などで出港していたので、在泊する自衛艦は少なめでした。

 DD-153 護衛艦ゆうぎり

 きり型で先輩の艦が次々に引退し、もはや古参の艦になってきました。

 

 DDG-179 イージス護衛艦まや
 2020年3月19日に就役したまや型の新鋭艦です。 DDH-183ヘリコプター搭載護衛艦 いずも(F-35B搭載のために現在、第1回目の改装工事中)とDD-101護衛艦むらさめ、DD-107護衛艦いかずち とともに横須賀の第一護衛隊群 第一護衛隊に所属しています。

 

 船体に見合わない大きな艦橋は異様ですが、マストは、こんごう型で見慣れたトラス式ますとから、ステルスを意識した後方に傾斜した塔型マストに、あたご型からなっています。

 

 横幅のある艦は、AGB5003砕氷艦(南極観測船)したせ
 先ほどの潜水艦救難艦ちよだ と同じく先代の艦の名をそのまま引き継いでいます。

 

 船首融雪用散水装置の穴が開けられています。 

 

 氷山などを観測する大型の見張り室もマストにあります。衛星画像で氷山の位置や氷の厚さを見ますが、目視による見張りも大切です。

 

 船首部部分は本来ならばオレンジ色か喫水線下はマルーンで塗装されていますが、一度後退してから加速して前進し氷に乗り上げて砕氷するラミング(チャージング)を南極海で行なって、塗装が剥がれてグレーになっています。
 激闘の跡は、まもなく再塗装されます。

 

 最後にすれ違ったのは、25トン交通船2121号型  
 人員や物資を運搬する上陸用舟艇型の船です。、おおすみ型輸送艦に搭載することもあるので、通常のスクリューによる推進ではなく、輸送艦から発進できるようにウォータージェット方式による推進方法をとっています。

 

 乗船場に近づくと、横須賀市のヴェルニー公園の脇を通ります。
 横須賀市は軍港を観光資源としているので、ウッドデッキのある遊歩道やバラ園、そして名前の由来となったフランス人のヴェルニーを顕彰し、旧横須賀製鉄所のスチームハンマーが展示されているヴェルニー記念館が横須賀駅前にあります。
 帝国海軍時代は横須賀海兵団があった場所で、第二次大戦中などに戦没した軍艦の慰霊碑があり、閉館したお台場の船の科学館から2016年に移された戦艦陸奥の主砲も展示されています。

 

 45分間のクルーズは終了し、船着場に向かいます。
 プロペラが故障した本来の軍港めぐりの遊覧船であるSeaFriend7ですが、翌日には修理も終わり軍港めぐりに復活しました。
 故障によりピンチヒッターのSeaFriend1に乗る経験が出来たので運良く、いい経験をしました(^^)