ハクソー・リッジと那覇基地航空祭の旅#4(前田高地#1
                                            2018年 5月30日更新                                                                                                                

 浦添ようどれを出て、前田高地の上を目指します。
 
 
 

 海から隆起した石灰岩の岸壁を行きます。

 

 今は急な階段が設けられていますが、この切り立った崖を攻略させられたアメリカ陸軍の兵士もキツかったと思います。
 

 登ってみると石灰岩が所々露出している平らな地形に達します。
 アメリカ軍もここまで苦労しながら登ることが出来ました。大変なのはこれからで、日本軍は反射面陣地を築いていました。
 
 

 登っってきた南東側の垂直に近い崖とは違い、 ↓ 首里の方向の北西側の斜面はなだらかになっていて、こちらの斜面に日本軍は隠蔽された陣地や壕を築ました。今では草木が覆っていて、戦場だった頃の地形がよく分からなくなっています。
 ソビエト軍の防御陣地を研究して作り上げた日本軍の反斜面陣地は、攻撃側は攻撃前に敵陣地を直接攻撃することが出来ず、上に登ったところで反対側の斜面から攻撃を受け、アメリカ軍は何度も撃退されました。沖縄の戦場も反斜面陣地を活用した成功事例になっています。

 

 高地の上は戦場らしき地形をそのまま残しています。
 浦添ようどれの周辺は、琉球王朝の城址のイメージが強くありましたが、上に上がると戦争の遺構が多く残っています。

 

 前田高地壕群(北側)の掲示があります。

 

 実際の壕が口を開けていますが、今では植物が覆い繁り、壕の内部は落盤の恐れがあるので立入禁止になっています。

 

 アメリカ軍が攻撃をかけた北東の斜面は急な崖になっているので、近寄れないようフェンスが貼られています。

 

 南の方に進んで行くと、少し広くなった広場のようなところに出ます。
 映画「ハクソー・リッジ」では崖を登ると平坦な地形が広がり、奥に日本軍のトーチカがありましたが、実際の前田高地の上は映画ほど幅がありませんでした。

 

 ここが映画ハクソー・リッジで主人公のデズモンド・ドスが崖を登ったところで、GoogleMapでDesmond Doss Pointと記されている場所です。
 高地の上は戦争遺跡がたくさんあります。

 

 Desmond Doss Pointというから、何かモニュメントのようなものが設けられているかと思いましたが、下記の看板が1枚立てられているのみです。
 看板一枚でも、ないよりはいいので、この看板目指して多くの訪問者がやってきます。

 

 この看板は映画の写真が使われているので、映画の公開によって訪れた人が増えたため、浦添市が立てたものらしいです。
 実際に、多くの映画を見たと思われる人が、この日も訪れていました。
 そして、それを上回る訪問者が外国人で、おそらく在日米軍関係の家族連れや、海兵隊員とおぼしきグループが何人も訪れていました。(当時戦ったのは海兵隊ではなく、アメリカ陸軍の兵士でしたが)

 


 改めて高地の上から、南東の方角を見るとアメリカ軍が上陸した地点や、最初の日本軍の抵抗拠点の嘉数台台地が良く見えます。
 アメリカ軍がなにがなんでも前田高地の占領を決心したのと、日本軍もこの高地を失う訳にはいかなかった事情が、ここから見るとよく分かります。

 

 そして辺野古に移転後、返還が決まったアメリカ海兵隊の普天間基地も見えます。
 見事に基地周辺に家や集合住宅、学校などが建ち並び基地が囲まれた形になっています

 

 嘉数台の上には展望台があり、そこからは普天間基地が良く見えるので、多くのギャラリーが展望台に登っているのが見えます。

 

 ちなみに嘉数台の展望台から、普天間基地はこのように見えます。

 


 高地の上を南に向かい、先ほど登った為朝岩の方に向かいます。
 以前は高地の尾根上の道を行くと、為朝岩に行くことが出来ましたが、現在では閉鎖されています。

 

 進んで行くと、フェンスで閉鎖されていて、「この道の先は道の両側が崖となっているため立入禁止とします。」との掲示があります。
 道は草が多い繁っていて、道の先の見通は利きません。
 個人的な願望としては、多くの人に前田高地の戦いを見守っていた為朝岩を訪れてほしいと思います。尾根上の道が安全に通行できる日が来る日が来ることを願います。
 沖縄は温暖の地で草木が伸びるのが早いのと、毒蛇のハブがいるので、昼間であり一応冬の季節なので、ハブは出ないと思いますが、あちらこちらに「ハブに注意」の看板が立てられているのをみると、草むらには近寄りたくなくなります(^_^;)
 特に最近は、沖縄の在来種のハブと台湾ハブとの混血のスーパーハブが問題になっており、大きさも毒性も増して、従来のハブ用の血清も効かないようなので、なお茂みには入りたくなくまります(^_^;)

 

 久留米の陸上自衛隊幹部候補生学校の学生が、戦史教育の総仕上げとして沖縄を訪れ現地視察をされるので、その際に前田高地周辺の草刈りをして行く話を聞きました。