2017 千歳基地航空祭の旅#9(太平洋フェリー いしかり#2)
                                           2017年11月28日更新     


 ロイヤルスイートルームの特権として、夕食バイキングのみ、席の予約が出来ます。
 ただし、予約した席には1卓だけ白いナプキンが敷かれ、ロイヤルスイート予約席の札が置かれるので、この席に座ると他の席から注目を浴びることが想定されます。
 部屋に案内されたとき、アテンダントからレストランの席が予約するか聞かれました。1人で予約席に座るのも恥ずかしいような気もしますが、この日のフェリーはほぼ満員で、レストランもたいへん混み合っているとのこと。予約しないと、席が空くまで待たなければならないとのことなので予約することにしました。

 レストランの営業は出港前の18時から営業しているので、アテンダントは出来ればすぐに来て欲しそうな表情をされていました。船側としては混んでいるレストランで予約客が来るまで予約席として1卓空けていなければならないのは避けたいところですが、当方も出港見学は外せません(^_^;)  夕食前に風呂に入って汗を流したいし、出港の様子を見る出港見学もしたいということで、わがまま言って港外に出た頃の時刻19時15分を指定させて頂きました(^_^;)

 出港時間は19時ですが15分前に巨大な前部車両搭載ドアが閉じられます。
 波の荒い外洋を航行するのでドアは頑丈な造りです。  

 

 時間をかけてドアが閉まると、岸壁と繋いでいる係留索を緩め、外すと出港です。出港時間は最後の係留索が外された時間が出港時間になり、この日は定刻の19時ちょうどでした。

 

 岸壁を離れたら、ゆっくりと後進して右に回頭していきます。
 正面窓前のスツールに座っていると、操舵席に座っているような気分になれます(^_^)

 

 入港船の内航船タンカー 昭靖丸 (昭和白タン(株)所属 2,983t)をかわします。

 

 苫小牧港外に向け船首が回頭しました。

 


 港外に出ると、客室を出て一つ上の階、7デッキの外のスカイデッキに上がり外を見ました。

 

 日の長い季節なので19時過ぎで夕暮れを迎えます。

 

 北海道の山々、後志支庁の有珠山、昭和新山を見たかったのですが標高737mだと手前の1,000mを越える山々に遮られてしまっています。
 ただ、1,898mの蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山は見ることが出来ました。

 


 出港見学が終了すると、19時15分の食事の時間になります。
 船内には演習帰りの自衛官が多数乗船しています。
 平成29年度の北方機動演習は第10師団が行い、第14普通科連隊や第10特科連隊を中心にした部隊が、6月27日~7月31日の期間で北海道の矢臼別演習場、上富良野演習場、そして「輸送艦おおすみ」も参加し、浜大樹訓練場で揚陸訓練も行ったようです。
 演習を終えて愛知県や三重県などの駐屯地に帰るので、名古屋まで太平洋フェリーは最適な輸送手段です。74式戦車は輸送艦で輸送しましたが、この「いしかり」にはFH-70 155mm榴弾砲や施設部隊の資機材が載っていたらしいようです。
 1ヶ月近くの北海道のでの演習を終えて、皆さんくつろいでいる様子です。船内レストラン サントリーニ にも多くの自衛官がくつろいだ格好で食事をしています。今まで太平洋フェリーで、訓練での移動中の陸上自衛隊員たちには2度ほど遭遇しましたが、レストランで食事をしている自衛官はいなかったので、今回は大演習からの帰りでくつろがれているのかと思います。ビールなどのアルコールも大いに飲んでいたので、移動兼休息扱いであったかと。

 いしかりのレストランは夕食は2,000円で食べ放題で、アルコール類は別途料金がかかります。
 入るとホテルのバイキングと同じように料理が並び、ソフトドリンクのドリンクバーがあります。

 

 スイートルームは夕食、朝食の食事券が無料で渡されるので、キャッシャーで食事券を渡すだけです。
 満席なのでお待ちくださいと言われますが、ロイヤルスイートルームで席予約と告げると、予約席に案内して頂けます。

 予約席は料理台やドリンクバーにも近くて便利な窓際のテーブルですが、すべてのテーブルがブルーのテーブル掛けが敷かれていますが、予約席はその上に一席だけ白いテーブル掛けが架けられた上に、多客期なのかA3の大きさの紙に、「予約席 ここはロイヤルスイートのお客様専用の席です」を書かれていて、たいへん目立ちます(^_^;)

 料理はバイキング料理なので、見た目はアレですが、美味しいものもあります。特に油揚げのハサミ揚げと、バター醤油焼きそばが美味しく、バイキング料理を取りに行く第二次出撃でも、同じものを取りに行きました(^_^;)

 

 席のまわりはすべて自衛官で、彼らの話を聞きながら食事をしていると自衛隊の食堂に来ているような感じになります。

 バイキングスタイルの料理で2,000円分も食べるのは難しく、同じ船のレストランなら新日本海フェリーのカフェテリア方式の方が料理の質もコストパフォーマンスもいいかもしれない(^_^;)

 席を予約したお陰で、待つこともなく、いい席に座れましたが、予約席は注目を浴びてしまうのが玉にきず。翌朝、パブリックスペースを歩いているときに、小声で、「金持ちが来たぞ」と言わせてしまう(^_^;) 別に金持ちではなく、船好きな物好きなオタなんだけれど(>_<)

 自衛官も皆、Tシャツ姿で、Tシャツも中隊や教育隊のTシャツを着ているので、Tシャツを見ているだけで、どこの部隊か判ってしまうので、航空自衛隊の航空総隊が所属部隊名が判るようなTシャツの着用を禁止したのも、情報保全のためにそうするのも判るような気がします(^_^;)



 霧の中を「いしかり」は南下していきます。

 

 無人のデッキをうろつくのも、楽しいものです(^_^)

 

 夜の船内散歩が終わると、1人で過ごすには広すぎる部屋に戻ります。
 部屋に入るとカードキーを入口脇のカードホルダーに入れると、ホテルの客室と同様に照明などの電気のスイッチが入りますが、リビングとベットルームの両方にテレビあるテレビも、同時に電源が入り音声を流します。放送のチャンネルは2台とも連動していないので、片方でチャンネルを変えると音が重なるので、いちいち消しに行かなければならなかったのは、やや面倒(^^;) それに基本はBSチャンネルを受信していますが、デジタルをアナログに変換しているので画質が悪いのが玉にきず。

 さすがにベットは堅めで寝心地は良く、低気圧の前線に向かって航行していくので、波によりベットは緩やかに前後左右、上下に揺れて普通のホテルでは体験出来ない寝心地です。

 

  


 朝、目を覚ますと外は雨、海上にはうねりがあり、縦横に船は揺れています。
 昨日、三沢基地を襲っていた低気圧の前線が南下していて、仙台の手前で船が横断するようです。
 このロイヤルスイートルームのある位置が、最前部の右端なので、縦揺れのピッチングも横揺れのローリングも両方激しい位置に部屋があります(^_^;) かなり揺れました。

 船の揺れは好きなので揺れを楽しんでいましたが、本を読んだり、書き物をしていると軽く吐き気がしてきました(^^;)

 しかし朝食に行くと、ご飯をおかわりして食べたので、船酔いしたわけではなかったようです(^^;)
 でもレストランは中部にあるのでピッチングがなく、船内も場所によっては、揺れの度合いが大分異なります。
 スイートルームは新日本海フェリーのように船体の中央部に配置するほうが、揺れない部屋になると思いますが、スイートルームは


 客室に戻り、スツールに座って船前方の景色を楽しんでいると、霞の中から反航船がいきなり現れてきます。
 仙台港を出港してきた商船三井のタンカーROKKOSAN。 16万tで全長が333mと東京タワーと同じ長さです。
 この巨船と意外に近いところですれ違います。

 

 すれ違ったROKKODSAN(六甲山)をもっと見ようかと思って急いでデッキに上がると、反航船はあっというまに後方に抜けていきました。
 
 


 小雨降る中、仙台港に定刻の10時前に接岸します。部屋から入港の様子を見学します。
 係留索発射機から岸壁に向かってロープが圧縮空気のボンベを使って発射されます。

 

 下船前に、一晩過ごした船室を名残惜しいですが、
 今回、1人でリビングルーム、ベットルーム、バスルーム等を合わせて52㎡の客室を使いましたが、さすがに1人では広すぎて落ち着かない気分になります(^^;)
 1人なら広くても特等船室くらいの広さが良いのかもしれません(^_^;)
 
 それでもホテルだったら、この広さの部屋に個人でこの値段で泊まることは難しく、それも2食付きで(食事の程度はいいホテルよりは落ちますが)42,000円程度でとはリーズナブルに感じます。それに2食付きの値段で苫小牧―仙台の移動が出来、船窓から海の風景を楽しみ、船内の様々な施設もあるので、あまり値段は高いと思わなくなります。かつてのブルートレインよりも快適な旅を楽しめました(^_^)
 これからも流行のJR各社のリゾートトレインよりも、長距離フェリーの上級船室を選ぶかと思います。

 

 下船後、1泊の宿だったい「いしかり」を振り返ります。

 


 仙台フェリーターミナルから仙台駅に向かいます。船の到着後、10時28分に仙台行きのバスが出ますが、発射まで20分以上もあるので、フェリーターミナルから歩くことにしました。
 この一帯も2011年の東日本大震災の津波の被災地で、津波による被害の痕跡を見ながら歩きました。

 貨物専用鉄道である仙台臨海鉄道の仙台西港線の踏切を渡ります。 

 

 この鉄道も東日本大震災で大きな被害を受け、機関車が3台被災し、うち2台が廃車になっています。
 この路線はキリンビールの工場の製品出荷と回収したビール瓶の運搬に使用しています。

 

 小雨降る中、フェリーターミナルから三井アウトレットパーク仙台港まで約20分で到着しました。
 ここで買物と昼食です。

 

 昼過ぎに、アウトレットパークを出てJR東日本仙石線 中野栄駅を歩きます。
 県道10号線を渡り、仙台東部道路を超えてすぐの建物に、「波来(はらい)の地」の碑があります。東日本大震災で津波が来襲した所に立てている石碑で、宮城県内には何十本も立てられています。ここは復興になった市街地に立てられている碑で、とても目立たないものですが、これから何十年後でも津波被害の危険性を伝承していく碑にしたいと思います。

 
 
 千歳基地航空祭は展示飛行には恵まれませんでしたが、長距離フェリーによる2泊3日の旅を楽しんで来ました(^_^)