新日本海フェリ-で札幌の旅#3(フェリー船内)
                                            2016年8月23日更新                                                                             
                                                            


 昔と違って、長距離フェリーの旅は変わってきました。昔は金はないけど時間はあるという旅人が、フェリーで雑魚寝で移動という旅でしたが、今は違います。特に共に、北海道と本州を結ぶフェリーを運航している太平洋フェリーとは、クルージングをコンセプトに乗船客へのサービスを競い合っているので、他社とは抜きんでたサービスを行っています。
 ブルートレインが廃止された今、移動手段と移動時間を楽しむのに最適な交通機関は長距離フェリーかなと思います(^_^)

 楽しみなのは、食事です。列車の食堂車が定期の長距離列車からは撤退。今またJR各社や私鉄でクルーズトレインの形で食堂車が続々と復活しています。
 そんな中、スペースに余裕がある長距離フェリーは、食事スペースは充実しています。 この点は、列車はどうあがいてもかないません。

 新日本海フェリーの食事には、予約制のグリル、カフェテリア方式のレストラン、軽食用のカフェ、そして24時間対応の自販機コーナーと充実しています。
 昼食は個室で食べるために新潟駅で駅弁でもと思いましたが、やはり船上生活を味合うためにレストランでとりました。

 

 4階のレストランで通路からは、レストラン内は見えなくなっています。
 また、この奥のオープンデッキでは夏季限定でバーベキューガーデンになっていて、ジンギスカンとビアガーデンが楽しめます。

 

 カフェテリア方式なので、入口入ったところの長いカウンターで、欲しいものをとったり、各コーナーで注文します。

 

 レストラン内は充分席はありますが、カフェテリア方式なので料理を選んだり、注文して受け取るのに少しだけ時間がかかったりするので、レストランには早めに並んで入ると、スムーズに食事が取れます。

 

 昼食に選んだのは、新潟らしくタレカツ丼(800円味噌汁付き)、男爵ポテトサラダ(160円)、トマトサラダ(260円)合計1,220円
 トマトサラダが260円とは高いような気がしましたが、トマトは毎日のように食べるトマト好きなので食べました(^_^;)
 カツ丼はホーエー豚を使っているようです。
 
 

 大海原を眺めながらの食事は不味いはずもなく、粟島をながめながら食事を楽しみました(^_^)

 

 


 昼食のあとは、食休みを経てから大浴場で入浴です。
 浴槽に入ると展望風呂を楽しめます。ただ景色はいつまでも変わらぬ大海原が広がります。やはり、日本人は風呂が好きですね。長距離フェリーには大浴場が欠かせません。

 入浴後は、部屋で机に座りパソコンで書類作成に励みます。まったく揺れないので仕事ははかどりました。

 新潟―小樽航路はかなり陸から離れたところを航行しますが、予想していたよりは携帯の電波や、Wi-Fiの電波が陸より受信できました。この部屋が5階という高い場所にあったからかもしれませんが。
 

 自分は小さい頃は車酔いに苦しみ、乗り物に酔いやすいタイプかと思っていましたが、船には強いらしく船酔いに苦しんだことがありません。
 最初は大間から函館への小型のフェリーで荒れた津軽海峡を渡ったときに、ローリング、ピッチングの激しい揺れの船中を楽しんだときに自分は船には強いとの確信を持ちました(^_^)
 それから学生時代に国鉄全線完乗を目指していたときには、移動兼宿泊で長距離フェリーを利用するようになりました。寝台で寝るときは船の揺れが心地よく、揺れろもっと揺れろと祈っていました(^_^;)

 今回、船首に一番近い部屋を選択したのは、ピッチングが激しいだろうというもくろみがあったからです(^_^;)
 しかし、この日の日本海は風速3m、波高1mで、まったくという程、揺れを感じません。また乗るときには荒れる冬の日本海で、揺れを楽しませて頂きたいと思います(^_^;)
 
  

 大きく揺れる船に乗ったときに、聴きたい曲はドイツ映画「Uボート(Das Boot)」のサウンドトラックで、太平洋をUボートが敵輸送船団を前進全速で進む曲が含まれています。ウォークマンに曲を入れていき、荒れる海を眺めようという目論見は外れました。
 でも部屋のテレビは衛星放送が見られ、偶然にもNHKBSプレミアで「Uボート」を放送しており、海上で海の戦争映画を鑑賞しました。
 ただ、日本と同じく敗戦国の戦争映画なので、結末は暗く終わる映画が多く、この「Uボート」も結末は救いがないほど暗く終わります。

 船首寄りの部屋を選んだ利点の一つは、エンジンの振動が後部の客室に比べ弱いことです。後部の大浴場やレストランにいるとディーゼルエンジンの振動がかなり気になります。
 その代わり前部にいると、少しでも舵を取ると敏感に感じることがあります。
 基本的にはほぼ直線に航行していますが、時たま小さく舵を切るときがあります。何事かとテラスに出て船の前方を見てしまします(^_^;)
 針路を変更するのは、反航船に針路を譲ったりすることもありますが、意外に思ったのは定置網のブイを避けてるために細かく舵を切っていました。フェリーが航行する沖合まで定置網が仕掛けられているのと、フェリーが小さなブイをきちんと見つけて避けていることに感心しました。 

 

 遙か先を行くコンテナ船の曳き波も時間をかけて到達し、フェリーは揺れることもなく乗り越えていきます。

 

 


 まだまだ時間はたっぷりあるので、夕食前の時間を船内散策に当てました。

 もう出港してから時間も経つのでサイドデッキは人一人もいません。ほぼ360度海原しか見えなくなります。これが夏でなければ視程も開けて陸地が見えるのかもしれませんが。

 

 22.7ノット(42.0km/h)でひたすら船は直進していきます。

 

 後部デッキ(バーベキューガーデン)には、ヘリコプター用のHマークが描かれています。 
 ただスペース的には着船は不可能なので、急病人が発生した場合にはホイストで釣り上げることになります。アニメ「よみがえる空」でも、小樽―敦賀間のフェリーとおぼしき船から、小松救難隊のヘリがホイストで急病の子どもをつり上げるシーンが13話にあります。
 
 奥はバーベキューガーデンと、ビアガーデンのカウンターがあります。なので後部デッキはジンギスカンの臭いが充満しています(^_^;)
 
 

 左舷には救難艇がいつでも使えるように置かれています。船客などが海に転落したらすかさず救助のために降ろされます。

 

 右舷には折り畳み式の救難艇が置かれています。

 

 これは乗客が救命ボートで脱出したときに、救命ボートをまとめる役割をします。
 基本的にフェリーは安全な乗り物だと思っていますが、2014年の韓国のセウォル号転覆事故を見るように、乗り物には絶対の安全はないので、救命ラフトや脱出シューターなどの使い方も、一通り掲示物は読んでみました。

 

 サイドデッキを前部に向けて移動していくと、乗下船口になります、この辺りはけっこう手摺りが低く、スリルを感じます。
 乗下船口から4階に上がるラッタルも結構スリルを感じます。

 
 
 手摺りの高さが腰くらいの高さなので、進行方向から吹き付ける高速船ならではの強風もあって、最もスリルを感じるラッタルです。
 風が強かったり、揺れが激しいときには立入禁止になるのは当然の場所です。

 

 4階の船首近くのドアから船内に入るとフォワードサロンになります。

 

 ここは前面展望が楽しめるサロンで、前面窓の前には簡易テーブル台と椅子が並べられています。
 太平洋フェリーでは最古参のきたかみに展望室がありますが、このように椅子を前面窓に並べてはいないので、フォワードサロンは新日本海フェリーらしいサービスです。

 

 椅子に座るとこのような景色が目の前に広がります。ただ、前面にひたすら海原が続くだけなので、すぐに飽きてしましますが(^_^;)

 それに冬の日本海は荒れるので、前面窓の保護のため冬季はこの窓は鉄板で塞がれてしまうので、冬季は鉄板に覆われたサロンになってしまいます・・・

 



 さらに船内を巡ると、まったく無人のツーリストBの部屋があったので、見せてもらうと二段の寝台が並んでいます。

 

 海上自衛隊の自衛艦も居住性向上のために寝台も三段から二段の寝台が主流になってきているので、海上自衛隊の艦艇勤務気分を味わいたければ、このツーリストBの寝台に寝ればいいかも。

 


 船内を巡っているうちに17時30分を過ぎたので、夕食をとりにレストランに向かいます。

 

 夕食は、レストランお勧めのビーフシチュー(690円)揚げ出し豆腐(290円) 男爵ポテトサラダ(160円) 豚汁(190円) ライス大(250円)計1,580円
 カフェテリア方式だと取り過ぎると値段も上がります。太平洋フェリーの夕食はビュッフェ形式で2,000円なので、それよりは安くなりましたが、向こうはソフトドリンクも飲み放題ですからお得かも。
 ただし、ビュッフェ形式だとつい食べ過ぎるので、体のためにはこちらの方がいいです(^_^) それに味の方も、こちらに軍配があがります。

 


 カフェテリア形式だとダラダラ食べることもなく、さっと食べて部屋に戻ります。

 18時頃だと津軽海峡の入口付近を航行します。 いままで、ほとんど反行船も同行船も見当たりません。太平洋フェリーの太平洋航路は北米に行く船も多く、船窓から常に他の船を見ることができますが、日本海航路は寂しいものです。 
 それが津軽海峡の入口に近づくと、見かける船が現れてきました。さすが国際海峡でもある津軽海峡。

 船窓で楽しみにしていたのは、自衛艦か他国の軍艦でもすれ違わないかなと、双眼鏡で時々見張りをしていましたが(^_^;)、ようやく一隻の自衛艦を発見しました。
 掃海艇で艦ナンバーは識別できなかったので艦名は判らなかったのと、訓練で航海しているのか、8時5分頃、秋田県男鹿半島西方250キロメートルの日本の排他的経済水域(EEZ)に落ちた北朝鮮の中距離弾道ミサイル ノドンの弾頭部分の破片の捜索に大湊から出港した掃海艇かは判りませんでした。 

 

 そして航海中の一大イベント、同じ航路の姉妹船らいらっくとのすれ違いです。
 互いに無線で打ち合わせて、定刻の19時30分にすれ違います。 5分前にらいらっくとのすれ違いの案内放送があり、すれ違いの際には互いに汽笛を鳴らして挨拶をします。(太平洋フェリーも名古屋―仙台航路ではイベントになっています)
 
 らいらっくも小樽を同じ10時30分に小樽港を出港しているので、行程はほぼ半分まで来ました。あと8時間30分で小樽港入港になります。津軽海峡付近を通過し北海道のエリアに入ったかなと思ったら、まだ行程は半分も残っているので、いかに北海道は大きな面積を持っているのかと思います。
 小樽港までまだまだ8時間以上時間はかかりますが、飛行機なら下降を開始していて新千歳空港まで20分もしないで、着陸するような位置です。

 

 翌日の4時小樽港入港なので、あとは寝るだけです。 テラスからの景色はイカ釣り漁船の投光器の灯りしか見えなくなりました。


 
 小樽港入港の1時間前の3時に船内放送から音楽が流れて起床させられます。
 
 テラスからは小樽の街の灯りと祝津の小樽水族館が見え、小樽に着いた実感がしてきました。

 

 入港前に係員が個室の鍵を回収に来るので、シャワーを浴びてから下船準備をします(^_^)