制作記#349
                       更新日2014年11月16日更新           

2014年11月 15日(土)  戸崎観光港岸壁&桟橋#8(災害対応ヘリポート#1)


 港に防災用のヘリポートがあります。
 日常的に使用するものではなく、災害時のみの使用なので、正式には災害対応臨時着陸場ということになります。

 作るきっかけになったのはGoogleMapで横須賀市を見ていたとき、港に災害対応臨時着陸場を見ました。
 海上自衛隊やアメリカ海軍が使用している横須賀本港の南側に、横須賀市が管理する横須賀新港があります。こちらは商用港で、輸出する自動車の積み込みや独立行政法人 海洋研究開発機構の探査船も入港します。



 そこにヘリポートのHのマークが2カ所あります。ここにはマーク以外にヘリポートとしての施設はないようなので、常時使用するヘリポートではなく、大規模災害時に使用する災害対応のヘリポートらしいです。



 調べてみると、ここは平成20年度(2008年)八都県市合同防災訓練が行われた場所で、この時には日本の自衛隊のヘリコプターの他に、アメリカ陸軍のヘリコプターが医薬品の搬送訓練を行った他に、アメリカ海軍の揚陸艦エセックス(USS Essex LHD-2)も参加し館内での医療救護訓練や、搭載しているホーバークラフト型揚陸艇LCACも参加しました。
 このアメリカ軍も参加した合同防災訓練の甲斐あってか、2011年の東日本大震災の時は、エセックスは宮城県の支援に、その他多数のアメリカ軍の航空機も迅速に救難活動に参加しました。

 現在、横須賀市には海上自衛隊 横須賀総監部ヘリポートと、陸上自衛隊 武山駐屯地ヘリポート、防衛大学校ヘリポート、それと在日米海軍と防災協定を結んでいるので、米海軍横須賀基地のヘリポートも大規模災害時に使用可能です。それらの常設ヘリポートの他に、横須賀市内には、広域防災活動拠点臨時ヘリポートとして、横須賀新港、不入斗公園陸上競技場などの、市内の公園や駐車場の10ヶ所を、災害対応ヘリポートとして指定しています。

 実際に横須賀新港の災害対応ヘリポートを見てみたいところですが、港内の立入禁止地区にあるようです。

 2012年の観艦式に横須賀新港から「護衛艦たかなみ」に乗りましたが、そのときにはヘリポートのことは意識していなかったので、この場所の写真を撮りましたが、ヘリポートはわずかな角度違いで撮影していませんでした。この時は記念艦三笠を撮ったようです(^_^;)





 災害対応ヘリポートよりも、高層ビルの屋上ヘリポートを見に行くのはさらに困難です。
 県庁の防災課に勤務している知人がいて、県庁の屋上ヘリポートを見学したいと頼んでみたら、県庁職員でさえも2年以上防災課の部署にいるけど、一度もヘリポートには上がったことはないとのことでした(^^;)
 その代わり、危機管理室の見学をしてきましたが、平時の危機管理室は平時には机と椅子が並べているだけの施設で、大規模災害が発生したときに、パソコンや通信機器を運び入れて、運用を行うそうなので、ただの広い会議室の見学をしてきた印象です。


 官庁の屋上ヘリポートを見に行くのは困難ですが、民間の高層ビルでは屋上ヘリポートに昇れるビルがあります。東京港区の六本木ヒルズで、通常の展望料金1,500円にスカイドリーム・デッキ料金500円で、屋上に昇れます。
 東京タワーの先端が見えますが、ここの高さは238mで東京タワーの特別展望台の250mには負けますが、標高にすると270mの高さになり、東京タワーの特別展望台よりも高くなります。



 ヘリポートにはMAX5tの表示があり、5tまでのヘリコプターが離着陸可能です。警察、ドクターヘリで使われるBK117は軽量なので問題なく、防災ヘリで多く使われるベル412はぎりぎりの重量。自衛隊のUH-1Jも最大離陸重量が5t以下なので可能ですが、UH60クラスは運用時重量で軽く5tを超えるので運用不可ですが、非常用のヘリポートは運用予定のヘリコプターの最大離陸重量の2.5倍程度の強度は設計時に見込んでいるので、有事の際には降りてくるかもしれませんが。

 屋上展望台といっても、屋上ヘリポートなので「緊急用のヘリコプターが接近したら この場所に待避して下さい」の表記や、風力計やフラッドライトなどの照明設備など、屋上ヘリポートを制作する際の参考になりました。



 六本木ヒルズの屋上以外に、屋上ヘリポートを見学出来る場所は、2014年に開業した大阪市阿倍野区のあべのハルカスがありますが、ここもハルカス300 ヘリポートツアーがあります。(開催日にあっては確認する必要があります)


 六本木ヒルズから、新宿方面を見ると、もう一つヘリポートが見えます。これはアメリカ陸軍のヘリポート ハーディ バラックス(Hardy Barracks)が見えます。隣接する施設は波打つ前面ガラス張りの国立新美術館と、青山墓地、そして手前にアメリカの軍関係の施設と星条旗(Stars and Stripes)新聞社の建物があります。 このヘリポートは横田、厚木、座間の在日米軍基地との間にヘリコプターを運航していて、日本の防衛省のヘリポートに比べて、かなりの高頻度の離発着があります。 残念ながら訪れた日には、ヘリポートからの米軍ヘリの離発着は見られませんでした。 
 ここも、東京都が在日米陸軍と災害協定を結んでいるので、災害時には使用可能です。





 さて、今回作成するのは災害対応ヘリポートです。
 気軽に行ける災害対応ヘリポートがあります。東京都北区の国土交通省関東地方整備局の荒川下流河川事務所地内にあります。荒川の中州にあり、有名な岩淵水門のすぐ近くです。



 岩淵水門は、荒川に架かるJR宇都宮線の鉄橋の東側の下流にあります。
 最寄り駅は、JR赤羽駅か、東京メトロ南北線の赤羽岩淵駅になります。
 今回は、赤羽駅からスタートし、徒歩で約20分で岩淵水門に着きました。
 荒川の堤防の遊歩道に上がると、旧岩淵水門(赤水門)と岩淵水門(青水門)が見えます。



 岩淵水門は荒川(荒川放水路)と隅田川を分ける水門で、旧岩淵水門(赤水門)は1924年に完成し、1982年に新しい岩淵水門(青水門)が出来るまで使用されました。
 取り壊しも検討されましたが、産業遺産として保存されることになりました。
 


 ここの水辺の遊歩道が、中国庭園の九曲橋のようなデザインになっているのが気に入りました。レイアウトに作ってみたいと思います(^_^)



 岩淵水門(青水門)、隅田川流域の水防を担っている水門です。現在、耐震補強工事を行っているために、ブルーシートで覆われています。
 


 水門に沿った道路は、遊歩道にしては立派な舗装がされています。これは災害時に緊急用河川敷道路として、船着場やヘリポートと河川敷を利用して物資輸送を行うことになっているからです。防災訓練で、自衛隊車輌もこの道路を走っています。



 岩淵水門を超えると、いよいよ災害対応ヘリポートが現れます。
 

 ここに来るまで、周辺の防災施設の充実ぶりを見てきたので、ヘリポートへの期待も大いに高まってきました・・・・・・
 が、しかし災害対応ヘリポートは、思ったよりあっさりとしたものでした(^_^;)





 国土交通省が管理している災害対応ヘリポートですが、ヘリポートの状態はあまり良くはありませんでした。赤いアスファルトの舗装路面は薄くて、所々ひび割れていて、雑草が生えていて、○にHのヘリポートの表記も白ペンキがかなり剥げています。



 それでも災害対応ヘリポートの上に立って、ヘリポートの立地を眺めることが出来ました。遠くには東京スカイツリーも望めます。
 


 荒川堤防は河川公園になっていて、散歩やジョギングや自転車を楽しむ人たちが多くいて、都民の憩いの場所を晴れた秋の日に、岩淵水門を含めた散策を楽しむことが出来ました(^_^)

 岩淵水門と敷地内にある荒川知水資料館アモアを見学すると、日本という国は江戸時代から治水と水防には力を入れてきました。土建国家とか、コンクリートから人へとか、巨額の土木工事に国家予算をつぎ込むのに批判は数多くありますが、こうして治水に力を入れていると、災害による被害も軽減されます。巨大台風が来たときには、周辺諸国よりも台風による犠牲者の数は一桁以上少ないと思います。 公共工事による無駄遣いや収賄贈賄はあってはならないものですが。



 さて、レイアウトの制作に移ります。
 ヘリコプターの離発着場には○にHの文字が入っています。(高層ビルの屋上に○にRのマークがあるのは、構造上の問題で、重量のあるヘリコプターは着陸することは出来ませんが、ホバリングをしてホイストなどで要救助者を吊り上げて救助可能な設備です。)
 このマークをどうしようかと考えました。

 以前に制作した高層ビルの屋上ヘリポート2カ所の内、1つはドイツレベルの1/200北海油田のプラモデルのヘリポートを改造したものです。



 もう一つのはパソコンの図形ソフトで作画したもを、シール用紙にプリントして、ヘリポートのHマークを造りました。




 今回はどうしようかと考えながら模型店やホームセンターを回りました。こうしながら店頭の商品を眺めて歩くのは楽しいものです。
 
 円形のサークルは、サークルカッターで切り出そうかと思いましたら、模型店の店頭ですでにサークル状にプレカットされているMODELER'Sの切れているプラ材セットを見つけました。厚さ0.5㎜のA,Bのセット。0.3㎜のC,Dのセットがありますが、薄い0.3㎜のDセットをを使います。
 Hの文字は、EverGreenの厚さ0.25㎜、巾6.3㎜のプラ平棒を使います。



 サークルは直径80㎜、巾10㎜のものを。
縦棒は長さ45㎜。横棒は27㎜の長さに切って、Hの字にします。



 白いプラ材ですが、レイアウトに使うのにプラスチックの地肌のままではツヤがあって芳しくないので、ホワイトサーフェーサーを吹いて、ツヤ消しにします。



 次回は、これを岸壁に貼り付け、岸壁全体をウェザリングしようと思います(^_^)


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