制作記#265
                  更新日2013年1月5日更新           

2012年10月8日(月)  (番外編)観艦式2012#2(護衛艦たかなみ)
                
              
            

 前回に引き続き、周回遅れの掲載になっています(^_^;)


 観艦式の予行1に参加する護衛艦たかなみは、民間港の横須賀新港から出港しました。
 乗艦受付時間が6:40~7:40、自分1人なら朝早く家を出て横須賀に駆けつければいいのですが、今回は小学校低学年の子ども連れなので、朝早く家をでて、10時間あまりの航海をして帰宅するのはハードすぎるので、横浜に前泊することにしました。
 
 横浜から横須賀には、いつもはJR横須賀線を使います。
 理由は、戦前の帝国海軍の士官は横須賀への移動は2等車を使っていたので、それに習って横須賀へは、JR横須賀線のグリーン車で行きたいところです。 しかし大船、鎌倉と遠回りルートの横須賀線に比べ、横浜から横須賀中央まで特急で30分を切る京浜急行の早さをとります。 今回は子連れなので。
 それでも5時起床で6時にはホテルを出ました。 観艦式に参加するのは、ハードスケジュールを覚悟しなければなりません(^_^;)



 6時49分には横須賀中央駅に着き、ぷらぷらと歩いて横須賀新港に向かいます。
 横須賀の本港は帝国海軍から継承した海上自衛隊とアメリカ海軍が使用している軍港ですが、新港は民間港で自動車運搬船や海洋技術センターの調査船などを見かけます。

 埠頭には、むさらめ型、おおなみ型独特のタワーのようなマストが揃った護衛艦3隻が目刺しの用に停泊していました。
 当日は風が強く、防波堤に波しぶきがかかります。  [朝は「天気晴朗なれども波高し」という状況になっていました。



 乗艦券の確認と、荷物検査経て乗艦します。
 岸壁には、左から艦番号110 たかなみ 111 おおなみ 102 はるさめと、なみクラスが2隻、あめクラスが1隻。
 乗艦するのは、一番手前のDD-110 たかなみで、たかなみ型護衛艦のネームシップ1番艦で同クラスは5隻造られました。
 DD-102 はるさめは、たかなみ型の前のクラスのむらさめ型です。



 



 次に弟分のおおなみが横須賀沖の無人島 猿島を背に出港していきます。



 おおなみの出港後、タグボートが戻ってきてたかなみの曳船準備に入ります。



 横須賀本港では、自衛隊のタグボートが出港作業にあたりますが、横須賀新港は民間港なので、タグボートも民間船です。
 タグボートを間近で見られたので、後日、レイアウトに置く1/200のタグボートのプラモデル製作のために資料として、たくさん写真を撮らせて頂きました(^_^)



 横須賀港内を出ると、東京湾を各港から出港した自衛艦と単縦陣で湾内を航行します。


 当艦の後ろにも護衛艦いせを先頭に自衛艦が列を作って追従してきます。

 

 観艦式が行われる相模湾に向かう間に、子どもと艦内を探索に行きます。
 この日は振替休日だったので、小学生以上の子どもの姿が目立ちます。 自衛官は子どもにやさしいので、子どもはヘルメットを被せてもらったり、ガスマスクを被させてもらったりと、楽しませてもらいました(^_^)


 艦内には東日本大震災での災害派遣の様子も掲示されていました。
 地震が発生したのが2011年3月11日の14時46分、それから津波の第一波が襲来するのが約30分後。
 たかなみの出港時刻は16時17分で、津波第1波の襲来から1時間で三陸沖に向けて災害派遣に出動しています。
 


 隊員から当時の話しを聞くと、とりあえず救援物資を急遽積み込んで、出れる船から被災地に向けて出港したそうです。
 当時は、津波から逃げるために横須賀から艦船が消えたという話しもありましたが、本当は東京湾に津波が襲来するという状況のなか、被災地に向かって災害派遣に向かったそうです。 
 そして翌12日の早朝に被災地に到着し、午後には石巻で園児等の救出を行っています。

 その後に行われた津波被害者の収容は、若い隊員にはショックが激しいので、ベテラン隊員が行ったと聞きました。 
 護衛艦たかなみは、2004年に発生したスマトラ島沖地震による津波被害者の遺体捜索も行っているので、艦名がたかなみだということだけでなく、津波による災害派遣で活躍しています。
 


 観艦式が行われる相模湾に向かうまで、時間があるので乗艦者に125㎜砲などの装備品を動かして見せる、武器操法展示が行われました。

 最初は艦首にある125㎜砲の操法展示ですが、観客が詰めかけ過ぎたために、砲を旋回させることが出来ずに中止になりました(^_^;)

 それで近接防御システムのCIWS20㎜機関砲の操法展示が行われました。



 東京湾を出て、三浦半島の突端の城ヶ島を右に過ぎると、相模湾に入っていきます。



  伊豆大島を左舷側に見ながら、受閲艦隊の航行順を作るために、先に出航した艦が脇に出て、後から来る艦に航路を譲ったり、追い抜きをしたりして単従陣を組んでいきます。
 相模湾では270°の真西に針路をとり、そして伊豆半島に近づくと面舵で反転して90°の真東に針路をとります。



 12時を過ぎると観艦式がまもなく始まります。
 多くの観客は観艦式ですれ違う受閲艦隊を見るために甲板の方に並びますが、自分の場合は観閲式は何度も見ているので、今回は艦橋で操艦の操艦の方を見学することにしました。 
 ふだんは観客で混み合う艦橋も、この時間の観客は1人か2人いなくなります。


 前方、90°の方向に観閲を行う観閲部隊と観閲附属部隊が2列の単縦陣を組んで現れます。


 たかなみが附属する受閲部隊は2列になった観閲部隊の間を抜けて行きます。
 観艦式には停泊している艦隊を観閲する停泊式と、互いに移動して観閲する移動式があります。
 移動式の場合は停泊式に比べて、高い航海技量が必要になります。 海上自衛隊の場合は移動式を採用しています。
 以前は、移動式を採用している海上自衛隊の高い技量をアナウンスしていましたが、中国海軍も移動式の観閲式を行ったからか、今回はそのアナウンスはありませんでした(^_^;)



 ミサイル護衛艦、ヘリコプター搭載護衛艦、汎用護衛艦、輸送艦、潜水艦、潜水艦救難艦、潜水艦、掃海母艦、掃海艇等、航行性能が全て異なる自衛艦が同速度で同間隔を保ちながら、すれ違えるのが高い技量が必要とされます。



 自衛艦による受閲が終わると、飛行展示で海自、陸自、空自の航空機の飛行展示が行われました。



 今回は予行だったので、飛行展示参加機は本番よりも数は少なかったかと思います。




 観艦式が終了すると、再び反転して、270°の針路をとり、我々の乗艦する受閲艦部隊は、再び観閲艦とすれ違いながら訓練展示を行って展示を行います。
 
 我々は受閲艦部隊で見る方ではなく見せる側なので、訓練展示は離れた場所で行われるのを垣間見ることが出来ます。
 先行するはたかぜしらねが観閲官が座乗するくらまに向かって、祝砲を発射するのが遠方に見えます。




 我々のたかなみおおなみはるさめと3艦で戦術運動を行いました。
 これが非常に地味な展示で、戦術運動なので戦闘旗を掲げて、3艦一斉に針路変更を行ったらしい・・・・(乗っているとどのような戦術運動が行われたのか良く判りませんでした・・・)

 ただ見所は護衛艦旗の揚げ降ろしで・・・
 最初に艦尾の護衛艦旗を降ろすと・・



 マストに戦闘旗として、揚げ替えます。



 そして戦術運動の展示が終了すると再度、艦尾に護衛艦旗を掲揚します。



 砲を発射したり、ヘリコプターを発艦させたりといった訓練展示に比べて、非常に地味な訓練展示でした(^_^;)

 ヘリコプター発艦展示はヘリコプター搭載護衛艦いせが3機同時発艦、護衛艦あさゆきから1機発艦しました。




 その後の展示訓練は遠く離れた場所で行われたので、写真撮影することなく、艦内の各所を見学しました。

 展示訓練が終了すると、参加艦艇は出港した港を目指して帰投します。 一斉に東京湾に向かいます。



 乗員の間近で航海している様子を見ると、一緒に航海している気分になります(^_^)



 信号旗を揚げる海曹。 外国の海軍だと水兵の仕事ですが、海上自衛隊の場合は水兵がやる仕事を下士官にあたる海曹もこなします。
 外国の艦船に乗ると、セーラー服を着た水兵の姿が目立ちますが、自衛艦に乗るとセーラ服姿の海士の姿は少なく見えます。



 それもそのはず、海上自衛隊の場合は定員約45,000人のうち、水兵にあたる海士は約10,000人に対し、下士官にあたる海曹は約24,000人と、海士の2.5倍近くになります。 同じく志願制のアメリカ海軍でも下士官よりも水兵の方が多く、徴兵制を敷いている他の海軍ならば、もっと水兵の比率が高くなっているでしょう。   海上自衛隊の場合は士官にあたる幹部(准尉も含む)の定員数も海士と同じく約10,000人で、実際に海士の充足率が一番低い約75%なので、海上自衛隊ではセーラ服姿が一番少ない存在になっています。
 
 このように階級構成が非常にいびつな自衛隊ですが、いわゆる生活が安定した職業軍人にあたる幹部や海曹が多くを占めていれば、徴兵制の海軍よりも経験豊富な人員を多く抱えて(予算はかかりますが)いる海上自衛隊の強みになっていると思います。
 
 

 1/144の護衛艦しもきたの制作の参考にするために、各種装備品の資料写真も多く撮らせて頂きました。





 

 多くの船舶で混み合う東京湾の航海も終わり、横須賀新港に入港しました。 新港停泊の3隻の一番最後に出港したので、入港は一番最初になります。

 接岸する岸壁には、地球深部探査船ちきゅうなどを保有するJMSTEC独立行政法人海洋研究開発機構の、船から有人潜水調査船しんかい6500を降ろすブームなどが置かれています。



 たかなみが接岸すると、僚艦おおなみも続けて入港です。



 乗艦者が600名以上いるのではなかなか退艦できないので、おおなみの入港作業も見学してゆっくりと退艦しました。



 今回の航海は、洋上は波で揺れることもなく、風も強くなく、体感気温も寒くなく、子連れの体験航海としては、とてもコンディションのよい1日でした(^_^)
 
 

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