制作記#254
                  更新日2012年7月17日更新           

2012年7月14日(土)       海面#2                          


 レイアウトに堤防を作った後に、ボランティアがらみで岩手県宮古市に行ってきました。

 2011年3月11日の東日本大震災では宮古市にも津波が襲来し、市街地に大きな被害が発生しました。記録写真 


 
 宮古市街地を襲った津波は、津波が直撃したというより一度、堤防で食い止められ、津波が何波も来るうちに堤防から真っ黒い海水があふれ出したという感じです。
 宮古市役所から撮影した津波の映像がYouTubeにあります。
 この映像を見て、覚悟して宮古市に入りました。

 しかし、津波の被災地域にいつの間にか入り、商店街を進みますが、気仙沼で感じたような津波に襲われた街という感じがなく、日常の風景でした。



 大震災から1年4ヶ月が経過し、津波の被害から回復したようです。



 しかし、よく街を見てみると、建物を取り壊して更地になっている場所や、修繕や建替中の家、そして建物の外壁を塗り直した家が何軒もあります。



 多くの建物が建物全体、又は1階部分だけ外壁の塗り替えが行われています。
 リフォームの済んでいない家には、地面から2mくらいの高さまで黒っぽい汚れが付いています。 この汚れの高さが、この街を襲った津波の水位です。

 ここに住んでいる方の話しによると当時、大津波警報が出ていたが家に病人を抱えていたので避難はあきらめ、2階に上がることにしたそうです。 病人をベットから降ろしている最中に津波が襲来し、1階の天井のわずかな空間を残すだけまで家の中に黒い海水がなだれ込み、冷たい海水につかりながら死を覚悟されたそうです。 
 ようやく海水が引いて外に出たら家の前には乗用車が、3台も積み重ねっており、道路には一面に津波が運んできた汚泥と瓦礫が層をなし、家の中も汚泥が溜まり、1階の家財は全部廃棄したそうです。


 ビデオ映像が撮られた宮古市役所に行ってきました。 商店街は復旧が進みましたが、市役所周辺は瓦礫をかたづけた後の更地が目立ちます。
 


 市役所の近くの堤防は、宮古湾ではなくて、閉伊川の河口付近の堤防です。 高さは水面から5.26mあるそうですが、陸側からだと4mくらいの髙さだと思います。
 ビデオで見たとおり堤防の内側にいると、津波が堤防を溢れんばかりの勢いで迫りつつあるのに、気が付かなくて当然だと思います。
 津波が押し寄せる直前まで、自動車や自転車が通っていたのも、やむを得ないかもしれません。



 この堤防の高さは5.26mだそうです。



 海を眺めると、穏やかで地震や津波のことを忘れそうです。 震災前に見られた大型の漁船は見られませんが、小型の漁船は何隻も停泊しています。
 しかし、休日であることもあるでしょうが、漁業関係の船や工場に動きはなく、ひっそりとした印象です。



 陸側を振り返ってみると、破壊された建物を撤去した更地や、道路沿いの標識のポールが津波の力で曲げられたままになっています。
 


 閉伊川の川上の方を見ると、川を津波が溯った跡が見られます。
 手前の国道45号線の宮古大橋ともう1本の道路橋は無事でしたが、その奥のJR山田線のガーター橋は半分流されました。



 JR山田線は津波により沿岸部に大きな被害を受けました。 現在でも宮古-釜石間が運休中で復旧の見通しが通っていません。
 特に大槌近辺の被害のひどさが目立ちます。



 現在の所、JR東日本では、もともと赤字路線の山田線を本格的に復旧しても、まったく採算に合わず、これを機会に廃線にしたいと思うのが私企業としてのスタンスだと思います。 地元としては、本格的な鉄道復旧が復興への道しるべと鉄道の再開を望む声が大きくなっています。

 しかし、震災前も山田線の利用客も少なく、いつ廃止になってもおかしくなく、震災後の現在は過疎化に拍車もかかっているので、鉄道ファンとしては鉄路が復活してくれるのを期待するところですが、早期の復興のために鉄路には早々と見切りをつけて、BRT(バス高速輸送システム)の方がいいかなと思います。

 現在、鉄道の運行が行われている、盛岡-宮古間も、平行して走る国道106号を岩手県北自動車の106急行バスが走り、時間、運賃ともにライバルになっています。 山田線は線形が悪くなっており、国道106号線はバイパス化が進んでいて利便性は高くなる一方で、JR山田線の苦労は続きそうです・・・・

 草むらに線路を留める犬釘が落ちていました。 海水でかなり腐食していますが、これもJR山田線のものが津波で流されたかもしれません。




 さて、レイアウト制作記なのでレイアウトの話題に移ります。



 前回に引き続き海面の制作を続けます。

 前回は海の色を1色塗りました。 今回はもう一色塗ります。



 海の上に、ハイラインと複々線の鉄橋部分を並べます。 今回、作成するところは海面の大部分を線路が覆ってしまい、完成後にはあまり良く見えなうなるのですが、手を抜かずにやります(^_^)



 海面の上に鉄橋が覆い被さるので、その部分に影を付けます。

 レイアウトの制作法というより、絵画的な表現ですが、影になる部分に暗い色を塗ります。
 
 夏の夕方5時頃は西から太陽が当たるので、鉄橋の東西に通る鉄橋の真下辺りに影が出来ます。
 その位置にマスキングテープを貼ります。

 最初に塗ったのがアクリルガッシュ ジャパネスクカラー濃縹(こきはなだ)を塗ったので、それよりも濃い青の鉄紺(てつこん)を影になる部分に塗ります。



 やはり1回塗ると1日、乾燥の時間をおくので、2回塗ったので2日ほど乾燥の為に日数を費やします。



 2度塗り終了後に、水面の感じを出すためにグレインペイント アクアシリーズを塗ります。
 グレインペイントは3本セットのものを購入し、色の薄い方から、ブルーライト、ブルーダーク、ブルーディープになります。(乾燥後は透明になるので、あまり違いはないように感じますが・・・・)

 海面の影の部分に、ブルーディープを塗ります。 



 塗りの道具は3種類。 ヘラと平筆とドライブラシ用の筆。

 ヘラで盛りつけて、平らに延ばして、ヘラ筆は角の細かい部分に盛ります。
 最後にとても堅い穂先のドライブラシ用の筆で水面を細かく波立っているように仕上げます。 



 一回、グレイペイントアクアを塗ると1日乾燥させて、翌日その上に塗っていきます。 



 今回は2日間で2回、グレインペイント アクアを塗りました。 塗った直後なので、白濁していますが、充分乾燥すると透明な樹脂に仕上がる予定です(^_^)


 製作記#1~100   101~150   151~200   201~250  251~300